学芸員ブログ
1.242023
(一社)馬搬振興会の事業報告会に参加してきました
2022年12月19日(月)岩崎小弥太記念ホール(東京都港区六本木)で行われた(一社)馬搬振興会の事業報告会に行ってきました。
(一社)馬搬振興会は畜力を利用した馬搬・馬耕についての<普及啓発><馬と人材の育成><農林業活性化><途上国での畜力活用>を活動の柱として、近年はアフリカでの馬やロバの畜力を使った農業技術指導と農機の開発支援に取り組んでいます。
松山記念館は2006年以来、松山犂による馬耕技術指導を通して(一社)馬搬振興会の事業と寄り添ってきました。
このたびは、昨年9月17日~18日にフランスで行われたLa Rout Du Poisson 2022(ルート・ドウ・ポワソン)に馬搬振興会の岩間敬氏をはじめ4名が馬搬・馬車競技に参加し、この日はフランスから大会運営に携わるRichard DURBIANO氏と国立ルパン種馬所の Helene MOREL氏も招かれての報告会となりました。
ルート・ドウ・ポワソンは、1991年に始まったフランスの馬車競技大会でドーバー海峡から水揚げされた魚を載せた馬車がパリまでの速さを競うレースです。
Richard DURBIANO氏のスピーチによると、18世紀頃のフランスではドーバー海峡の港から乗り継ぎ地で馬を交代させながら新鮮な魚を24時間以内にパリの卸売市場に運んでいたそうですが、日本でも同じ時期に千国街道(糸魚川~松本)や飛騨街道(富山~松本)など海に面する地域とつながった街道では海から海産物を運ぶのに荷継ぎが同じように行われていました。
海産物を労働効率に考慮して荷継ぎしながら短時間で運ぼうと考えるのは世界中おなじなのですね。
ルート・ドウ・ポワソンはこの伝統を伝えるもので、エリゼ宮へレースで運ばれた魚が届けられたそうです。レース後にはパリ・凱旋門でのパレードが行われ、パレードには日本からチャグチャグ馬コ同好会も参加して日本の馬事伝統文化を世界に伝える活動をしたことが報告されました。
またこの事業報告会ではフランス・日本における多様な馬の利活用についてスピーチがあり、木曽馬保存会 事務局長 中川剛氏が「日本のはたらく馬〜歴史と役割」というテーマで馬による運搬や馬耕の歴史を解説するとともに(一社)馬搬振興会の馬耕技術継承の活動について松山犂の馬耕技術を継承する「馬耕伝習会」に触れながら紹介されました。